探偵業法が対象にする「探偵業務」
第2条は探偵業務を、他人の依頼を受けて特定人の所在や行動の情報を集めるために、面接による聞込み、尾行、張込みその他これらに類する方法で実地の調査を行い、その結果を依頼者に報告する業務と定義しています。報道機関の依頼で報道の用に供する目的のものは除かれます。
警視庁は、届出をしても特別な権限が与えられるわけではないと説明しています。たとえば対象者を見張るために他人の敷地へ無断で立ち入れば、住居侵入になり得るという例が示されています。
依頼前に押さえたい条文の一覧
| 条文 | 内容 | 依頼者が確認できること |
|---|---|---|
| 第4条 届出 | 営業所ごとに、所在地を管轄する都道府県公安委員会へ届出書を提出する | 標識に記載された公安委員会名・届出受理番号 |
| 第5条 名義貸しの禁止 | 届出者が自己の名義で他人に探偵業を営ませてはならない | 契約の相手方と標識の名義が一致しているか |
| 第6条 実施の原則 | 他の法令で禁止・制限された行為ができるわけではない。人の生活の平穏を害する等の権利侵害をしない | 調査方法の説明に違法・迷惑な手段が含まれていないか |
| 第7条 書面の受領 | 契約前に、依頼者から「調査結果を犯罪行為や違法な差別的取扱い等に用いない」旨の書面を受け取る | 依頼者側が署名を求められる書面の意味 |
| 第8条 重要事項説明・契約書面 | 契約前に書面を交付して説明し、契約後は遅滞なく契約内容の書面を交付する | 2種類の書面がそろっているか |
| 第9条 実施に関する規制 | 調査結果が違法な行為に用いられると知ったときは業務を行ってはならない。届出のない者へ委託してはならない | 再委託先の有無と、その説明 |
| 第10条 秘密の保持等 | 業務上知り得た秘密を漏らさない(退職後も同様)。資料の不正・不当な利用を防ぐ措置をとる | 資料の保管・処分の方法 |
| 第12条 名簿・標識 | 従業者名簿を備え、標識を営業所に掲示し、原則としてウェブサイトでも公開する | 標識の掲示ページ |
公安委員会による監督と罰則
公安委員会は報告・資料提出の要求や立入検査を行えます(第13条)。法令違反で業務の適正な運営が害されるおそれがあるときは「指示」(第14条)、著しく害されるおそれがあるときや指示に違反したときは、6月以内の期間を定めた営業の全部または一部の停止を命じることができます(第15条)。
罰則は、無届営業や名義貸し、指示違反が6月以下の拘禁刑または30万円以下の罰金(第18条)、第8条の書面を交付しない・必要事項を記載しない・虚偽を記載したときは30万円以下の罰金(第19条)などです。
届出は「品質の保証」ではない
警察庁の解釈運用基準は、届出は形式的な要件を満たしていることを示すもので、欠格事由に当たらないことまで証明するものではないとしています。届出の有無は最低限の確認であり、調査方法・費用・書面の内容は別に確かめる必要があります。
相談先・申込先の選び方
法律上の義務を満たしているかは、届出の標識、重要事項説明書面、契約書面という「目に見える書類」で確かめられます。相談の段階でこの3点を見せてもらえるかを、候補を絞る最初の基準にしてください。広告で知った相談先も、届出と書面の確認は同じ手順です。
出典・確認日
- e-Gov法令検索「探偵業の業務の適正化に関する法律」(平成18年法律第60号) (確認日:2026年10月12日)
- 警察庁「探偵業について」 (確認日:2026年10月12日)
- 警察庁「探偵業の業務の適正化に関する法律等の解釈運用基準について(通達)」令和6年4月1日(PDF) (確認日:2026年10月12日)
- 警視庁「探偵業の業務の適正化に関する法律の概要」 (確認日:2026年10月12日)
契約と調査範囲は、始める前に確認しておこう。